活動報告(レポート)
障がい者スキー交流会2024を開催しました!
2024-03-02
期日:令和6年3月2日(土)~3日(日)
会場:安比高原スキー場
レポート:
【障がい者スキーの取組み】
本事業は、長年に渡り、岩手県身体障害者福祉協会をはじめとする障がい者団体や障がい者スキー関係団体等との連携により開催してまいりました。当初は参加を希望する脊髄損傷者や四肢切断者数名での体験会からスタートしました。その際には多くの医療リハ系のスタッフ等にボランティアとして参加いただいておりました。近年は視覚障がいや知的・発達障がいなど様々な障がい種別の参加が増え、総勢100名を超える大イベントとなっています。また、イベント規模の拡大とともに毎年、10名以上の日本プロスキー教師協会(以下、SIA)所属の障がい者スキー認定教師の皆さんにご協力いただいております。
2017年には当協会(岩手県障がい者スポーツ協会)を設立して、障がい者スポーツの推進団体として本事業を主催しています。本事業の目的は障がいのある方々がスキーを楽しむための環境づくりとともに、本事業に賛同する多くの団体とのネットワーク構築による障がい者スポーツ全体へのアプローチにあると考えています。多くの目により、課題や発見、改善点など共有し、構築・拡大していくネットワークを活用しながら本県の障がい者スポーツ全体の環境整備につながっています。それだけにとても価値のある事業であり、今後も継続して開催してまいりたいと考えております。
【継続開催の危機】
毎年の悩みの種が予算の確保です。これまで県事業費や企業からの寄付金・協賛金等を活用して運用してまいりました。障がいのある方へのスキー指導は安全面に配慮してマンツーマンを基本としています。指導にあたるSIA所属の障がい者スキー認定教師は本県に2名しかおりませんので、その他、北海道・長野・新潟などからおよそ20名の認定教師に足を運んでいただいています。これにボランティアの経費を含めるとおよそ300万円ほどの経費が必要となります。しかしながら今回は事業に充てられる予算がない状況となっていたため、前年度から資金調達の方法を画策しておりました。その1つには企業・団体による助成金があります。本事業においても申請を検討しましたが、助成事業の多くは新規性を求められることが多く、継続開催している本事業が採択されるのは困難な状況でした。
【クラウドファンディングの実施】
そこで最後の手段としてクラウドファンディング実施に至りました。初めての試みなので手探りの状態でしたが、様々な立場の方々からご助言をいただきながら、300万円を目標として令和5年11月21日から70日間のプロジェクトとしてスタートすることができました。また、事業内容が公益性があると判断されたため、「オール イン」方式(目標金額の達成に関わらず集まった金額が寄付されます)となったことも開催に向けて明るい希望となりました。とはいえ当初はなかなか支援金が集まらず、厳しい時期もありましたが、最終的には169名の方々から2,310,555円の支援金をいただき、何とか事業をつなぐことができました。あらためて、ご支援をいただいた皆様に心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
【障がい者スキー交流会2024】
2024年3月2日(土)~3月3日(日)の2日間に渡り、安比高原スキー場を会場に開催いたしました。今シーズンは雪不足により3月の開催日まで雪があるか心配される中、当日は何と今シーズン一番の大雪となりました。猛吹雪により視界不良で参加者が会場までたどり着けるか心配されましたが、無事に初日を迎えました。参加者総数は初日が88名(障がい当事者23名)、2日目が90名(障がい当事者23名)でのべ178名が参加。障がい当事者は10歳から65歳までのべ46名の方々にスキーを楽しんでいただきました。講師を務めた障がい者スキー認定教師は21名。この中には元オリンピック選手の岩谷高峰(いわや なおみね)さんも含まれます。また、各スキースクールの看板インストラクターや校長先生などそうそうたる顔ぶれが揃いました。初日終了後には今後についてミーティングを行いました。その中で様々な改善点の指摘を受けました。例えば障がい特性の事前把握やスキーレンタルを希望される方のレッスン時間の確保、チェアスキーの事前フィッティングなど。いずれも参加者がスキーを楽しむためには重要なことばかりでした。できるかぎり改善に努めてまいりたいと思います。
【今後に向けて】
今回、インストラクターを含め参加者の皆さまからいただいた声をフィードバックしながら次につなげたいと思います。その前にまずは予算の確保が先決です。次回はクラウドファンディングは行わず、助成金獲得を目指すこととしました。そのためには継続事業ではなく、新規性のある事業とする必要があります。これまでの参加体験型のイベントから参加者が体験するだけではなく、モデルスキーヤーとして主体的に参加する形へと変化させていきたいと思います。参加者の声を引き出し、障がい特性に応じた多様な体験プログラムを共有を図り、見える化する形を考えています。このことにより、障がい特性に応じた体験導入のためのプログラムが共有され、全国各地のスキー場で障がいのある方が気軽にスキーを楽しむことができる環境になることを期待しています。
